パークコート二子玉川

たしか雑誌か何かで見て、その存在は知っていたんですが
数年前、たまたま前を通りかかって実物を見て
今までマンションを見ては感じたことの無い感銘を受けました。
事業主は三井不動産。
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あらためてカメラを持って見に行って、撮りまくってしまいました。
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名庭園・旧幽篁堂(ゆうこうどう)庭園の跡地に建設されたこの建物。
2004年度のグッドデザイン賞を受賞しています。
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【↑まさに樹々の間から垣間見える邸宅…と言う感じ】

とにかく立派な樹に囲まれたこの住宅。
どれくらい囲まれているかというと、建物の写真を撮ろうとしても絶対樹が写ってしまうくらい。
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ボーダータイルの色合いが絶妙です。この色の使い方、決して落ち着いた感じでは無いはずなのですが、
(きっとサンプルだけを見たら、その良さに気付かなそう…)
実際にその場所に鎮座する建築物は、緑の中に静かに溶け込み、
落ち着きどころか、品格さえ湛えています。
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写真では微妙な色合いが良く分からないですね。
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【↑写真中央あたり奥に凹んでいるスパンの手摺のデザインがおもしろいです。写真じゃぜんぜん分かりませんね。パークホームズ吉祥寺北町のエントランスで使われている材料と似ています】

そこら辺の戸建でやたら使われている植物のつる等をモチーフにした鋳物の門扉やフェンスは
日本人の安っぽい欧米への憧れをカタチにした悪趣味既製品にすぎませんが
ここでは完全に全体デザインを完結させるために必要な要素のひとつになっています。
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【↑最近建築の写真撮っていてよく思うのは、とにかく電線が邪魔。美しくないね。】

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たまに自分も仕事で既存樹林が豊富に残った敷地に出会います。
既存の樹を残したいのはやまやまなのですがそれは至難の業。
まず容積消化のためには建物の配棟はどうしても敷地いっぱいいっぱいになってしまい
樹を残す空間が無くなってしまう。
また配棟的にゆとりがあたっとしても工事上はどうしても邪魔になって切らざるを得ない。
無理に残したとしても、一旦他の場所に移植して工事後に戻そうにも、
その作業を樹を枯らさずに行おうとすればよっぽどの手間がかかる。
このプロジェクトは、そのよっぽどの手間を欠けて既存樹林を保存したようですね。
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さらに一低層、風致地区において総合設計を行い、樹を残す周囲の部分を公開空地とし、
建物自体は高さ制限を外したようです。
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設計には藤原益男、三井純、さらに坂倉建築研究所の3社(者)が名を連ねていますが
どういった作業分担だったのでしょう?
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ランドスケープ担当の石勝エクステリアの社長とは以前ひょんなところで面識があったのですが…
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【↑どうです?この立派な樹】

ここでは、どこに行っても樹が主役…は、言いすぎでしょうか。
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【↑樹の姿自体が非常に美しいですよね】

都内のマンションと言うより、高級リゾートホテルって感じですね。
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いやー、なんだかこうやって今写真を見返しているだけでも何だか気持ちが高揚してくる。
この感動を写真はどれほど皆さんに伝えられるでしょうか?
このマンションには、非常に重いコンセプトを感じます。
コンセプトありきで、そのコンセプトに沿って丁寧に丁寧にものづくりがなされた結果が
この素晴らしい住宅なんだと思います。
by MITOO_OKAMOTO1 | 2006-08-14 22:15 | ARCHITECTURE
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