星新一 一00一話をつくった人/最相葉月

本を読んでいる途中で 別の本や雑誌が気になってしまうと

そっちを買って 読んでいた方をそのまま途中にしてしまう

悪い習性があるが

この本も 半分くらいまで読んで放置していたが

ふと思い出して 残りの半分を読み終えた

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ワタシの会社は 建築設計・デザインの仕事をしているのだが

その中で ワタシは“言葉”に依存した 仕事の仕方をしている

話す言葉 書く言葉

そして

伝える言葉 説得する言葉 表現する言葉…


小さい頃は 絵ばっかり描いている子供で

紙と鉛筆さえあれば 何時間でも大人しくしていた

それが序々に 文章を書くことも好きになってきたのは

小学生時代の後半くらいだろうか?

今思えば “星新一”との出会いの時期にリンクしていたのかもしれない

その頃からしばらく 星新一の作品を読みあさった


この本には 読者の年齢層が時代と共に若くなって行ったように書いてあるが

小学3~4年生で星新一は やはり早熟な方だったかもしれない


星新一の作品を読む時 他の作家のものとは違う独特の印象を受けた

リアリティを感じないと言うと悪い意味にとられるかもしれないが

自分の生きている世界とは まったく違う世界で起きていることのような

星新一と言う作家自体が まるで実在の人物ではないようにさえ感じた


ショートショートと言う =星新一と言って良いくらい

独自のジャンルであったことだけで無く

時代・国などの設定が具体的でなく 登場人物すら

エヌ氏やエフ氏などと呼ばれ 固有名詞が極力排除されていたからだろう

地域・社会環境・時代に関係なく 読み続けられる様にと言う

作家の意図があったようだ


(ワタシにとって)リアリティをともなわなかった星新一だが

この本では

一時 父親の後を継いで 当時大企業であった星製薬の社長を務めたこと

筒井康隆 小松左京 と並んでSF作家御三家と呼ばれていたこと

SF作家としての人気は絶大で 息も長かったが

一方文学的な評価は低く 高名な文学賞の受賞には縁が無く

それを気にやみ 受賞歴の多い 筒井康隆には嫉妬すら感じていたこと

当然のことだとは思うが 後年アイデアの枯渇に苦悩したこと

手塚治虫やタモリとも親交があり

飲み屋ではタモリと ふざけあっていたこと など

たしかに実在していた人間・星新一の姿が赤裸々に語られている


ひさしぶりに 星新一の作品を読みたくなった

当時から30年 

自分も歳をとり 時代も圧倒的に進化した

あの頃とは また違うことを感じるかもしれない






 
by MITOO_OKAMOTO1 | 2009-12-20 09:55 | BOOK
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